読者の間で最も注目されたのが「フシの最後の姿」です。一粒の球体から始まり、岩、狼、少年、そして森羅万象の器へと拡張を続けたフシの旅路は、どのような帰着点を迎えたのでしょうか。
物語の結末において、フシは概念的な神の座に留まるのではなく、「再び一人の人間として、大切な仲間たちと同じ地平に立つ姿」を選びます。世界そのものを支える不死の力は維持しながらも、彼は自らの意志で肉体を持ち、仲間たちの魂が自由に生まれ変わり、そして寿命を迎えて旅立っていく世界を見守り続けます。
全知全能の冷徹な観測者ではなく、かつて名もなき少年やジョアン、マーチたちから受け取った「温かな感情」を抱きしめたまま生きる道を選んだフシの姿は、本作が描き続けてきた人間讃歌の結晶と言えます。