ヒロイン・すず(ベル)役に抜擢されたシンガーソングライターの中村佳穂と、謎めいた「竜」を演じた俳優の佐藤健。二人の演技が織りなす圧倒的な緊張感とエモショナリズムは、制作現場での特別な工夫から生まれた。
細田守監督はプレスコ(歌やセリフを先に録音する手法)とアフレコを巧みに組み合わせ、中村佳穂の歌声が持つ即興性とエモーショナルな揺らぎをそのまま作中に封じ込めた。また、竜役の佐藤健は声のトーンを極限まで低く抑えつつ、獣の咆哮の中に人間の痛みを宿らせる繊細な表現を追求。ブース内で背中合わせになりながら呼吸を合わせた収録エピソードは、二人の演技に本物の魂を吹き込んだ伝説的瞬間として語り継がれている。