さらに深刻な懸念として浮上しているのが、サラダ油を加熱処理した際に発生する有害物質の存在だ。脳科学や病理学の分野で警鐘を鳴らす元金沢大学教授の山嶋哲盛医師は、高温加熱されたリノール酸から生成される「ヒドロキシノネナール」のリスクを長年にわたり追求してきた。
ヒドロキシノネナールは一種の「神経毒」として働き、細胞膜の脂質を酸化させる強力な毒性を持つ。体内に吸収されたこの毒素は、血液脳関門を通過して脳の神経細胞に蓄積し、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβの蓄積を促進する可能性が指摘されている。
「日々の原因不明な倦怠感や、集中力の低下といった『脳疲労』の陰に、加熱油から生じる有害物質が関与している可能性は否定できない」。こうした説は、従来のカロリー計算中心の健康観に強い衝撃を与えた。揚げ物や炒め物を日常的に大量消費する食習慣が、知らず知らずのうちに脳の健康をむしばんでいるかもしれないのだ。