史上最悪の惨劇となったニューデリー空中衝突事故の真相に迫る鍵は、墜落現場から回収されたブラックボックスにあった。コックピットボイスレコーダー(CVR)とフライトデータレコーダー(FDR)の徹底的な検証により、事故直前に交わされた悲痛な交信記録と、惨劇を防げなかった衝撃的な人為的ミスが明かされた。
記録によれば、管制塔はカザフスタン航空1907便に対して高度1万5000フィートの維持を指示していた。しかし、同機は指定高度を突き抜け、サウジアラビア航空763便が上昇中だった高度1万4000フィートまで無断で降下してしまっていたのだ。カザフ機内ではロシア語から英語への通訳を担当する無線通信士のみが高度指示を理解しており、操縦士との意図共有が遅れたこと、さらに乱気流による機体高度の変動が重なったことが致命傷となった。事故直前、危険を察知した通信士が焦燥の声を上げたが、もはや回避運動をとる猶予は残されていなかった。