「たかが内部に溜まった少しの水」と軽視して水抜きをスキップした場合、どのような被害が発生するのか。引越運送の現場や家電修理の最前線では、毎年数多くの深刻な損害事例が報告されています。
冷蔵庫は運転中、冷却器(エバポレーター)に空気中の水分が結露して霜となり、ヒーターの熱などで溶かされた水が本体下部の蒸発皿(ドレンパン)へ流れる仕組みになっています。水抜きを行わずにトラックへ積み込むと、運搬中の振動や傾きによって蒸発皿や内部配管から溜まった水が一気に溢れ出します。
運送会社関係者の証言によると、「荷台内で漏水が発生した場合、隣接する段ボールや高級家具、布団などに汚水が染み込み、数万〜数十万円規模の損害賠償問題に発展するケースがある」と指摘されています。さらに、引越業者の標準約款では『荷主の過失(適切な事前準備の不履行)』とみなされた場合、運送保険の補償対象外となるリスクさえあります。
加えて、本体自体の致命的な故障リスクも見逃せません。溢れた水が背面や底面の電気基板、ファンモーター、コンプレッサーの配線端子に接触すると、ショートによる発火や制御基板の全損を引き起こします。新生活の初日に冷蔵庫が冷えないという最悪の事態を避けるためにも、事前の水抜きは避けて通れない必須作業です。