今やアリーナクラスの会場を沸かせるNovelbrightですが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。ウォーキングウィズユーの誕生秘話と制作背景を振り返ると、そこにはバンドの存続そのものが危ぶまれていた過酷な下積み時代が存在します。
2013年に大阪で結成されたNovelbrightは、度重なるメンバーチェンジや動員伸び悩みに直面していました。フロントマンのノーベルブライト 竹中雄大自身、先の見えない将来に対して激しい焦燥感を抱えていたと当時のインタビューでも回顧しています。そうした先の見えない暗闇のなかで、自分たちを信じて支えてくれるファンや仲間、大切な人への偽らざる感謝と決意を音に変えたのが、まさに「Walking with you」でした。
この名曲が一夜にして全国区へ広がる転機となったのが、2019年夏に敢行された全国路上ライブツアー「ど・ストリート」です。仙台駅前をはじめ、各地の駅前広場で繰り広げられた演奏を一般の通行人がスマートフォンで撮影し、TikTokやX(旧Twitter)へ投稿した動画が凄まじい勢いで拡散されました。ノーベルブライトの路上ライブが流行った理由は、単なるSNSのアルゴリズムによる偶然ではありません。
通行人の足を止めさせたのは、アンプ1台から放たれる圧倒的な音圧と、一切のピッチ補正を行わない生歌の驚異的な精度でした。口笛の世界大会で2度の優勝経験を持つ竹中雄大の卓越した呼吸制御とピッチ感、そして通行人の目を真正面から見据えて歌い上げる気迫が、加工だらけのデジタルコンテンツに慣れた若者たちの心を強烈に射抜いたのです。現場に居合わせた観客が目撃した「本物の衝撃」が、SNSを通じて二次創作やシェアの連鎖を生み出しました。