現代のスニーカーカルチャーにおいて、シューレースの処理は単なる靴紐の結び目を超えた自己表現のステートメントとなっている。かつてナイキの名作エアジョーダンシリーズを手掛けた伝説的デザイナー、ティンカー・ハットフィールドは、シューズの機能美とシルエットの一体感を常に追求していた。アッパーのデザインがどれほど先進的であっても、紐の余りが崩れてしまえば、設計者の意図した黄金比率は失われてしまう。
近年、アディダスをはじめとするグローバルブランドや、日本国内で圧倒的なシェアを誇るABCマートの店頭に並ぶモデルを見ても、アジアンフィットの足型に対して紐が長めに設定されているケースが少なくない。これは様々な足幅や甲の高さに対応するためのフットウェア産業全体の仕様だが、ユーザーにとっては持て余す原因となる。アパレル・ファッションのトレンドがワイドパンツからスリムなトラウザーまで多様化するなか、足元の紐処理はスタイル全体の完成度を大きく左右する。