移植後の兆候として頻繁に取り沙汰されるのが着床出血だ。内膜の血管が微細に破綻することで生じる現象だが、これが出現する頻度は妊娠成立者の約10〜25%に過ぎない。
出血が全く見られないまま正常な妊娠を継続し、出産に至る人が圧倒的多数派である。少量の出血は着床のサインになり得る一方で、ホルモンバランスの微細な揺らぎや膣坐薬の挿入による機械的刺激でも起こるため、出血の有無で一喜一憂することに医学的な意味はない。
下腹部の違和感や「引っ張られるような痛み」についても同様だ。子宮収縮の微小な変化や腸の蠕動運動による違和感を着床痛として捉えるケースは多いが、痛みが皆無であっても着床が力強く進行しているケースは日常茶飯事である。症状の有無と妊娠率には統計的な相関が存在しない。