名付けの検討過程において、多くの親が深刻な混乱に陥るのが「検索するサイトや書籍によって同じ漢字の画数が異なる」という現象です。この乖離が生じる最大の要因は、現代の文部科学省が定めた「筆画数(新字体)」を採用しているか、伝統的な姓名判断の基盤である「康熙字典(旧字体)」に準拠しているかという流派の違いにあります。
代表的な事例が「くさかんむり(艹)」です。小学校で習う現代の常用漢字の書き順では3画として数えるため、「菜」や「萌」は11画と計算されます。しかし、旧字体の原義を重視する流派では、くさかんむりを植物の象形である「艸(6画)」としてカウントするため、これらの文字は「14画」として判定されてしまいます。同様に、「さんずい(氵)」を「水(4画)」、「てへん(扌)」を「手(4画)」、「てっしん・りっしんべん(忄)」を「心(4画)」として換算する流派では、公教育で覚えた筆画数との間に1〜3画のズレが不可避的に発生します。
ネット上の簡易診断ツールに振り回され、「あるサイトでは大吉なのに、別のアプリでは大凶と出た」とパニックに陥るケースは後を絶ちません。しかし、近年の命名研究においては「本人が日常生活で実際に書く筆順・画数こそが、本人の深層意識に最も強い影響を与える」とする新字体重視の立場も完全に定着しています。古代中国の字源に過度に囚われ、日常生活のリアリティから乖離した画数に固執する必要はありません。どの基準を採用するのか方針を1つに定め、異なる流派の診断結果を無暗に突き合わせて自滅しない姿勢が極めて重要です。