仕上がりの歯切れと美しい深緑色を左右するのが、最初の選別と下処理です。2026年代以降に流通している一般的なサヤインゲン(矮性種や改良品種)は「筋なし」の品種が主流となっていますが、ヘタの付け根部分には硬い繊維が残りやすく、口当たりを損なう原因になります。
下処理において最も重要なのは、包丁でヘタの端をわずか1〜2ミリだけ切り込み、そのまま反対側へ引いて筋の有無を確かめることです。筋がある場合はすっと細い繊維が剥がれ落ち、筋がない品種であれば抵抗なく端が落ちます。先端の尖った部分は柔らかいため、無理に切り落とす必要はなく、枯れて茶色くなっている先端のみを指先で折る程度で十分です。
次に加熱工程ですが、湯の塩分濃度は海水よりやや控えめな2%(湯1リットルに対して塩大さじ1強・約20g)が理想値です。塩分はクロロフィルの退色を防ぎ、鮮やかな発色を保つマグネシウムの流出を抑える役割を果たします。茹で時間の検証データは以下の通りです。
茹で上がったら、冷水には絶対に落としません。ザルに広げてうちわや扇風機で一気に急冷する「陸冷まし(おかざまし)」を行います。水蒸気として野菜自体の余分な水分を蒸発させながら冷ますことで、旨味を内側に凝縮させ、水っぽさを根源から遮断できるのです。