天吉の真髄を最もダイレクトに体感できるのが、平日・休日を問わず多くの美食家が競って注文する名物丼のラインナップです。とりわけ名代として名を轟かせる「かき揚げ丼」と、開港都市の粋を集めた「濱天丼」は、看板の双璧として君臨しています。
名物のかき揚げ丼は、一般的な小エビやタマネギ主体のチープなかき揚げとは一線を画します。大粒でプリプリとした食感の芝エビ、肉厚な真ダコやイカ、薫り高い三ツ葉が惜水なくぎっしりと隙間なく敷き詰められ、その厚みは優に3〜4センチに達します。高温のブレンド胡麻油で揚げることで外側は香ばしく、内側には魚介の凝縮された旨味が閉じ込められており、秘伝の濃口ダレが米の一粒一粒まで染み渡ります。その重量感と満足感は、遠方からわざわざ足を運ぶ価値を十二分に提示しています。
一方の「濱天丼」は、大ぶりの穴子一本揚げを中心に、海老、イカ、旬の青味野菜などを豪快に盛り付けた一杯です。丼からはみ出る肉厚な穴子はふっくらと蒸し揚がったようなジューシーさを誇り、サクサクの衣と濃厚ダレのコントラストが絶妙な調和を生み出しています。
ランチ定食や丼物には、滋味深い「シジミの赤出汁」が標準で添えられています。濃厚な油とタレの後味を、シジミのエキスと赤味噌の酸味が鮮やかにリセットしてくれ、最後の一口まで箸が止まりません。