ネット上の言説では「どうせ全部デタラメだろう」と一括りにされがちですが、これには重大な誤解が含まれています。Daily Mail Australiaは、荒唐無稽な陰謀論を垂れ流す実体のないフェイクニュースサイトではありません。ロンドンに本社を置く伝統あるDaily Mailの潤沢な資金力を背景に、現地に数十人規模の記者と契約カメラマンを配置した巨大な取材拠点です。
彼らの真骨頂は、「徹底的な現場取材とパパラッチ写真の買い取り力」にあります。オーストラリア国内で凶悪事件やセレブリティの事件が発生した際、警察発表を待つだけでなく、現場周辺をくまなく歩き回って近隣住民、元同僚、学生時代の知人から独自の証言やアルバム写真を入手するスピードは、真面目な硬派紙を凌駕することが少なくありません。テレビ局のディレクターや他紙の記者が、初動の事実関係や人物写真を把握するために「まずDaily Mailの一次記事をチェックする」という現象すら現場では起きています。
一方で、その迅速性と過激さの代償として、Daily Mail Australia誤報疑惑や名誉毀損訴訟が後を絶たないのも紛れもない事実です。過去には有名スポーツキャスターや芸能人に関する不正確かつプライバシーを過度に侵害する報道を行い、豪州連邦裁判所から巨額の損害賠償支払いを命じられた事例や、豪州プレス・カウンシル(APC)から度重なる是正勧告を受けています。つまり、「現地で起きている事件事故の初期情報・写真は本物だが、見出しの文脈付けや個人の内情に関する解釈は大幅に誇張・歪曲されているリスクが高い」というのが、デイリーメール記事の真相を捉える正確な視点です。