オカルト掲示板などで長年語り継がれている都市伝説に「夢日記を書き続けると気が狂う・発狂する」という言説がある。この噂の真相について精神医学的な観点から分析すると、単なる迷信として一蹴できない現実的な明晰夢危険性が浮かび上がってくる。
明晰夢の記憶定着を高めるための基礎訓練として推奨されることの多い夢日記だが、その実態は「本来であれば忘却されるはずの短期記憶を、意識的に長期記憶へと焼き直す作業」に他ならない。これを数か月にわたって過剰に継続すると、明晰夢夢日記の危険性として以下の精神的・認知的弊害が生じる。
- 現実検討能力(リアリティ・テスティング)の低下:「昨日あの人と交わした会話」や「職場で起きた出来事」が、現実の事実だったのか夢の中の出来事だったのかの境界線が曖昧になり、日常生活の判断に支障をきたす。
- 解離傾向・離人症的感覚の誘発:起きている日常空間に対しても「これも夢ではないか?」と疑うリアリティチェックが過剰になり、自分の身体や現実世界に対するリアリティが希薄化する。
- 睡眠深度の低下による慢性疲労:「起きたら夢を書き留めなければならない」という強迫観念が睡眠中の脳を緊張させ、脳の老廃物を洗い流すノンレム睡眠の質を著しく低下させる。
さらに、万が一夢の中で激しい悪夢に巻き込まれ、自力で目覚められなくなった場合の明晰夢起きられない対処法を知っておくことも不可欠だ。夢の中でパニックになった際は、無理に身体を動かそうとせず、「意図的に呼吸のリズムを極端に速める」あるいは「規則正しく息を止める」動作を行うのが有効とされる。呼吸を司る自律神経の中枢は脳幹にあり、睡眠中も肉体と直結しているため、呼吸パターンの急激な変化は脳の覚醒中枢を刺激し、比較的スムーズに現実の覚醒へと肉体を引き戻すことができる。