「カンパーニュを買ってみたけれど、すっぱくて家族に不評だった」という声をSNSなどで頻繁に見かけます。多くの人が抱くカンパーニュ酸っぱい理由と対処法を紐解くには、パン作りの根本的な発酵メカニズムを理解することが近道です。
カンパーニュの多くは、小麦粉やライ麦粉に自生する野生酵母や乳酸菌を培養した「ルヴァン種」を用いて長時間発酵されます。この過程で生成される乳酸と酢酸が、爽やかで奥行きのある酸味をもたらします。工場生産の角食パンのようにイーストで短時間発酵させた甘み主体のパンに慣れていると、この酸味を「傷んでいるのではないか」と誤解しがちですが、本場フランスでは肉の脂っこさを洗い流し、消化を助けるための極めて機能的な風味と位置づけられています。
酸味が強すぎると感じる場合、物理的・化学的に和らげるアプローチが有効です。酢酸は熱によって揮発する性質を持つため、しっかりトーストすることでツンとした刺激臭が大幅に軽減されます。さらに、有塩バター、クリームチーズ、マスカルポーネ、良質なオリーブオイルといった油分・乳脂肪分を塗ることで、酸の角が取れて芳醇なミルクの甘みと混ざり合い、濃厚なコクへと劇的な味覚変化を遂げます。