ぶりぶりざえもんの多面的な魅力、とりわけ「クズさ」と「かっこよさ」の双璧を堪能する上で欠かせないのが劇場版長編作品です。ファンおよびアニメ批評界隈で今なお最高傑作と評される3本を紹介します。
1. 『映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』(1996年)
トランプの魔法「ス・ノーマン・パー」によって呼び出される助っ人枠として登場します。アクション仮面、カンタム・ロボという正統派ヒーローとともに召喚されながら、強敵マカオとジョマを前にした瞬間、迷わず敵側に寝返る「私は常に強い者の味方だ」ムーブの金字塔です。その後、しんのすけから裏切りを責められると「寝返ったわけではない、偵察だ」と言い逃れ、最終的にはババ抜き勝負で敵を撹乱する展開は、ギャグアニメにおけるトリックスター描写の極みと評されています。
2. 『映画クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』(1998年)
ぶりぶりざえもんファンならずとも涙腺を崩壊させられる、彼の原点にして最高到達点です。本作では、悪の組織が開発した世界を滅ぼす自己進化型サイバーウイルスとして登場します。そのプログラムの容姿としんのすけの落書きが偶然一致したことから物語は急展開を見せます。終盤、しんのすけが語り聞かせた未完の童話の結末を受け止め、世界を救うために自らのプログラムを消去する道を選びます。「私はしんのすけ、君の味方だ」と告げて光の中に消えていく幕切れは、鈴置洋孝さんの名演も相まって永遠の神話となりました。
3. 『映画クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』(2026年)
神谷浩史体制となって初の本格的な映画メイン出演を果たした記念碑的作品です。ミラクルクレヨンによって実体化したぶりぶりざえもんは、水に濡れると溶けてしまう自身の宿命と戦いながら、しんのすけたちと旅を続けます。道中で食料を独り占めしようとしたり、敵の軍門に降ろうとしたりするおなじみのクズ行動を連発しながらも、最後の危機では文字通り自らの身を削ってしんのすけを救出します。声優交代への懸念を完全に払拭し、神谷版の存在感を確固たるものにしました。