足の裏や指の縁に生じる1〜3ミリ程度の小さな水泡。その正体として現場で最も多く鑑別されるのが、「小水疱型水虫」と「汗疱(異汗性湿疹)」です。両者の最も根本的な違いは、「真菌(カビ)の寄生があるかないか」という点に尽きます。
小水疱型水虫は、皮膚の角質層に「白癬菌」というカビが侵入・増殖することで発症します。白癬菌が角質のケラチンを分解する際に生じる生体反応によって炎症が起き、強いかゆみや小さな水泡が形成されます。カビである以上、高温多湿の環境を好み、家族間でのバスマットやスリッパの共有によって容易にうつる感染症です。
対照的に、汗疱(異汗性湿疹)は菌による感染症ではありません。足の裏や手のひらに密集する汗腺(エクリン腺)周辺で、発汗のバランス崩壊やアレルギー反応、角質肥厚などが重なり合って生じる皮膚炎です。水泡の中に白癬菌は一切存在しないため、周囲の皮膚や家族へ感染することは原理的にありません。
発症パターンの傾向として、汗疱は左右の足裏や両手のひらなど「左右対称」に出現しやすいのに対し、水虫は靴の中の湿度ムラや感染部位の偏りから「片足のみ、あるいは左右非対称」に現れやすい特徴があります。ただし、小水疱型水虫が両足に広がる例や、汗疱が片足に強く出る例も珍しくなく、肉眼観察だけで完璧に見分けることは極めて困難です。