「パーカーを描いたはずなのに、首元に薄いマフラーを巻きつけたようになってしまう」――この現象が起きる決定的な理由は、フードの構造とアタリを首の後ろの空間から切り離して捉えている点にあります。市販のフーディー(パーカー)は、前後2枚以上の布を立体的に縫い合わせて作られており、首の後ろから両肩にかけてしっかりとした厚みと「立ち上がり」が存在します。多くの初心者は首の付け根のラインから直接フードを生やすように描いてしまい、結果として首が埋まったような平坦な絵になってしまいます。
立体感を破綻させないための第一歩は、身体のアタリを取った後、まず「台襟(襟ぐりのライン)」を意識した首回りの空間を確保することです。フードは首に密着しているのではなく、首の後ろ側に空気の層を含んでふんわりと乗っています。この空気層を意識し、首とフードの間にわずかな「影が落ちる隙間」を作るだけで、驚くほど自然な前後関係が立ち現れます。
さらに見落とされがちなのが、服のシワの描き方における「引力と支点」の関係です。一般的なパーカーの多くは10オンスから12オンス程度のヘビーウェイトな裏起毛や裏パイル生地で作られています。シャツのような薄手の布と異なり、パーカーの布地は自重で下方向へと強く引っ張られます。肩の頂点や胸、肘といった「支点」から重力に従って落ちるシワの流れを理解しないまま、適当に細い線を散らすと、生地の厚みそのものが消滅してしまうのです。