物語の軸となるのは、家具職人を目指して高知から上京した主人公・宮川正太だ。どこにでもいるような真面目で愚直な青年の姿は、当時の多くの若者にとって等身大の自分自身そのものだった。彼を取り巻く寮生たち——圧倒的な存在感を放つ田畑重男や白鳥沢レイ子といった濃密なキャラクターたちとの化学反応が、物語に爆発的なエネルギーを与えていた。
連載当時の取材メモや関係者の証言によると、宮川正太の造型には作者自身の若き日の葛藤や実体験が色濃く反映されているという。社会という大海原に放り出された若者が、挫折を味わいながらも自らの手で居場所を作り上げていく過程。そこに隠された創作秘話を知ることで、作品に込められた普遍的なメッセージがより一層クリアに浮かび上がってくる。