ドラマ『せいせいするほど、愛してる』が放送から10年近く経つ現在も語り草となっている最大の要因は、超一流ハイブランドの洗練された世界観と、突如差し込まれる過剰なエンタメ演出の「奇跡的なアンバランスさ」にあります。
その筆頭が、海里が精神的に追い詰められたり感情を高ぶらせたりした際に突如として披露する「エアギター」の描写です。静寂なオフィスや自宅のバルコニーで、ロックサウンドに合わせて滝沢秀明が激しく身体を反らせてエアギターをかき鳴らす演出は、初回放送時から視聴者のド肝を抜き、Twitter(現X)上で瞬時に世界トレンド入りを果たすほどの社会現象となりました。制作陣が「大人の男が内に秘めた激情の解放」として真剣に導入したこの演出は、シリアスな不倫劇に適度なツッコミどころとグルーヴ感を与え、視聴率以上のバイラル拡散を生み出しました。
また、松田聖子が歌う主題歌「薔薇のように咲いて 桜のように散って」は、作詞・作曲・編曲をX JAPANのYOSHIKIが手掛けたことでも大きな話題を呼びました。日本の美意識を象徴する切なくも壮大なバラードは、修羅場や感情の昂ぶりの瞬間に完璧なタイミングで流れ、視聴者のドラマ体験をより一層ドラマティックに昇華させました。
さらに、ティファニーの日本法人による全面的な撮影協力もテレビドラマ史上異例の規模でした。銀座の本店をはじめとする実際の店舗でのロケ撮影に加え、ショーケースに並ぶ億単位のハイジュエリーがそのまま小道具として使用されるなど、画面から漂う本物のラグジュアリー感が作品の質感を圧倒的に引き上げました。