アメリカによる攻撃的な制裁がベネズエラ国内に何をもたらしたのか。インターネット上では「アメリカの経済制裁がベネズエラ国民を飢餓に追いやった」という主張と、「マドゥロ政権の汚職と社会主義政策の失敗がすべての原因だ」という意見が激しく対立しています。現地の報道データと当事者の証言を突き合わせると、その双方が絡み合った地獄絵図が浮かび上がります。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の集計によると、ベネズエラから国外へ脱出した難民・移民の数は累計770万人以上に達し、ウクライナやシリアに匹敵する第二次世界大戦後最大級の人口流出を記録しています。物価が数万パーセント上昇したハイパーインフレ期を経て、現在のカラカスでは実質的に米ドルが流通していますが、月額の最低賃金は公認為替レートでわずか数ドル程度。公務員や教員、年金生活者は、政府から支給される粗悪な配給食料(CLAPボックス)がなければ命をつなげない状態に置かれています。
現地で医療活動を続ける医師団は、海外特番の潜入取材において悲痛な表情でこう語っています。
「病院には抗生物質もガーゼも、停電時に作動させる発電機のディーゼル燃料すらありません。米国の金融制裁で医薬品の国際調達ルートが滞っているのは事実ですが、それ以前に政府高官が医療予算を横領し、設備保守を放棄してきたことが崩壊の根本原因です」
日本のSNSやQ&Aサイトでも、「なぜ石油が大量にあるのにベネズエラ人は貧困に苦しんでいるのか」という疑問が頻出します。その答えは、資源の富を特定の権力維持に浪費し、民間産業を統制令で破壊し尽くした構造にあります。国内のスーパーマーケットは輸入食料で溢れていても、それを買えるのは軍幹部や闇ドルを握る特権階級だけであり、一般庶民の困窮は限界に達しています。アメリカの制裁は、こうした脆弱な独裁体制にとどめを刺すべく設計されたものですが、結果として最も苦しんでいるのは武器を持たない一般市民であるという厳しい現実が存在します。