事態の始まりは2011年6月に遡る。定期健診によって早期の食道がんが発見され、勘三郎は年内の休演を発表。精力的な治療とリハビリを経て、翌年2月には復帰公演を果たし、ファンを大いに喜ばせた。しかし、さらなる完全復帰を目指して受けた2012年7月の食道がん摘出手術が、図らずも暗転の契機となる。
12時間に及ぶ大手術は無事に完了し、腫瘍の除去にも成功した。だが、長時間の全身麻酔と侵襲の大きな手術は、知らず知らずのうちに彼の身体を蝕んでいた。術後まもなく重い肺炎を発症すると、病状は加速度的に悪化。集中治療室(ICU)での懸命な治療にもかかわらず、容態が劇的に好転することはなかった。