古くから労働者の喉を潤し、地域住民の憩いの場として機能してきた角打ちですが、松川酒店の歩んできた歴史はまさにその文化の縮図といえます。酒販店の一角を仕切り、升の角に塩を盛って酒を飲んだことが語源とされる角打ちは、一般的な居酒屋とは一線を画す厳格な美学を持っています。
松川酒店が多くの呑兵衛を引き寄せる最大の理由は、時代に流されない骨太な空間作りにあります。昭和の風情を色濃く残す店内には、店主が自ら蔵元へ足を運んで信頼関係を築き上げた全国津々浦々の地酒が所狭しと並びます。華美な装飾や過剰な接客を排し、純粋に「酒そのもの」と向き合える立ち飲み環境が守られている点こそ、玄人筋から絶賛される所以です。
「仕事終わりにふらりと寄り、店主が選んだ一杯と乾き物で喉を鳴らして15分で引き上げる」。この潔い呑み方を愛する常連たちによって、松川酒店の品格ある空気感が今日まで受け継がれてきました。