スズメの生態的特徴を知ると、現在の環境がいかに過酷であるかがより鮮明になります。スズメの野生下での平均寿命はわずか1〜2年程度と極めて短命です。飼育下では10年以上生きる個体も存在しますが、自然界では厳しい冬の寒さ、病気、カラスや猫による捕食によって、生後1年以内に大半の個体が命を落とします。
地域観察を行っているバードウォッチャーの手記や市民調査の現場レポートでは、以下のような切実な証言が寄せられています。
「30年前は秋の電線に数十羽がぎっしり並んでいたが、最近は5〜6羽の小さなグループを見かけるのがやっと」「住宅街でスズメが巣を作ろうとエアコンの室外機配管カバーの隙間や換気口のフードに挑むが、金網で塞がれて途方に暮れている様子をよく見かける」
高い繁殖力(1シーズンに2〜3回産卵)で高い死亡率を相殺してきたスズメにとって、産卵場所とヒナの餌が同時に断たれたことは、種を維持する均衡を根本から破壊する致命打となっています。