日本の会社法において、法人形態は「株式会社」と「持分会社」の2つに大別されます。このうち持分会社は、出資者(法律上の呼称は「社員」)が会社の所有者であり経営者でもある構造を持ち、合資会社・合同会社・合名会社の3種類で構成されています。
一般的な日常会話で「社員」といえば雇用契約を結んだ会社員(従業員)を指しますが、会社法における「社員」とは会社に出資を行った構成員(オーナー・パートナー)を意味します。この法的な定義の違いを把握しておくことが、持分会社の理解における第一歩です。
合資会社の最も際立った制度的特徴は、出資者の中に「無限責任社員」と「有限責任社員」という責任範囲の全く異なる2つの階層が混在していなければ設立できない点です。
- 無限責任社員:会社の負債に対して、自己の個人資産(預貯金、不動産、有価証券など)を投げ出してでも全額弁済する義務を直接・連帯して負う出資者。信用や労務(労働力)の現物出資も認められています。
- 有限責任社員:会社に出資した金銭や現物資産の範囲内でのみ責任を負う出資者。会社がどれほど巨額の負債を抱えて破綻しても、出資額を失う以上の個人的な返済義務は課されません。
設立にあたっては、資本金ルールとして1円以上の出資があれば制度上は立ち上げ可能です。また、株式会社のような取締役の役員任期(原則2年、非公開会社で最長10年)が存在しないため、定期的な重任登記の手間や登録免許税コストが発生しないという持分会社共通の柔軟性を備えています。