車より巨大?ヘラジカの規格外な大きさと生態の全貌を徹底解剖

車より巨大?ヘラジカの規格外な大きさと生態の全貌を徹底解剖

車より巨大?ヘラジカの規格外な大きさと生態の全貌を徹底解剖の疑問点について、専門知識を取りまとめてご紹介します。

北欧や北米の交通安全統計において、ヘラジカとの車両衝突事故は「最も恐れられる交通事故」の一つとして位置づけられています。現地で「ムース・クラッシュ」と呼ばれるこの現象には、ヘラジカ特有の体型が大きく関係しています。

乗用車がシカやイノシシと衝突した場合、通常は車両のフロントバンパーが衝撃を吸収します。しかし、肩高2m超のヘラジカと衝突した場合、車の先端は長すぎる脚部のみを払い飛ばす形になります。その結果、支えを失った500kg〜800kgの巨大な胴体ブロックが、慣性によってフロントガラスとルーフ(屋根)を粉砕しながら直接運転席・助手席へ突入します。

これにより、ピラー(車の柱)がへし折られ、車内空間が物理的に押し潰されるため、乗員が致命傷を負う確率が極めて高くなります。ボルボ(Volvo)やサーブ(Saab)をはじめとするスウェーデンの自動車メーカーが、急ハンドルでの障害物回避性能を極限まで高めた「ムーステスト(エルクテスト)」を世界に先駆けて開発・標準化したのは、この過酷な衝突被害から人命を守るための切実な現場ニーズからでした。

また、野生動物としての攻撃性も見過ごせません。一見すると穏やかで鈍重そうに見えるヘラジカですが、最高時速は56km/hに達し、全速力で走る人間を容易に追いつき踏み潰します。特に秋の繁殖期(ラット)におけるオスの狂暴化や、初夏に生まれたばかりの子鹿を連れた母ヘラジカの警戒心は極めて高く、アラスカ州ではクマによる襲撃件数を上回る人間への人身傷害事故がヘラジカによって引き起こされています。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。