肌に突如として現れる赤みやかゆみ。「これは蕁麻疹なのか、それとも単なる湿疹やかぶれなのか」という疑問は、臨床現場でも患者から最も多く寄せられる相談の一つです。皮膚画像データベースや臨床写真において、蕁麻疹を定義付ける視覚的特徴は「膨疹(ぼうしん)」と呼ばれる一過性の皮膚の隆起です。
典型的な蕁麻疹の症例画像では、皮膚の表面が蚊に刺されたようにプックリと円形や楕円形に盛り上がります。さらに患部を掻きむしることで、物理的な刺激によって線状のミミズ腫れ(人工蕁麻疹様病変)が生じ、それらが互いに連結して直径10センチ以上の広大な地図状の浮腫へと急速に拡大していく様子が確認できます。境界線が極めて鮮明で、周囲の皮膚との境目がくっきりと浮き彫りになるのが視覚的な大きな特徴です。
これに対し、一般的な湿疹(接触皮膚炎や皮脂欠乏性湿疹)やあせも(汗疹)は、組織の破壊や角層の炎症を伴うため、見た目のプロセスが全く異なります。
湿疹の写真は、初期には細かなブツブツ(丘疹)や極小の水疱が見られ、進行すると皮膚がジュクジュクとただれたり、カサカサと粉を吹いて皮が剥けたり(落屑)します。最も決定的な識別基準は「時間経過」にあります。蕁麻疹は「数十分から数時間、長くても24時間以内に跡形もなく消失する」のに対し、湿疹やあせもは同一部位に数日間から数週間にわたって赤みが居座り続けます。「昨夜あれほど酷かった赤い腫れが、朝起きたら跡形もなく消えていた」というケースは、典型的な蕁麻疹の経過といえます。