健康な歯肉溝の深さは1〜3ミリ程度ですが、炎症が進行すると歯周ポケットは急速に深くなります。歯周ポケット深さ8ミリ以上に達すると、一般的な歯ブラシの毛先はもちろん、家庭用のデンタルフロスや洗口液の有効成分も全く届きません。ポケット内部は酸素を嫌う嫌気性菌(ポルフィロモナス・ジンジバリスなど)にとって理想的な繁殖環境となり、バイオフィルムが強固に定着します。
骨が溶ける直接の引き金は、細菌そのものによる攻撃だけではありません。侵入した細菌を排除しようとする生体の免疫応答によって、破骨細胞が過剰に活性化し、自らの歯槽骨吸収レベルを進行させてしまう自己破壊メカニズムが働いています。
骨吸収には、骨が全体的に水平に減っていく「水平的骨吸収」と、歯根に沿ってすり鉢状・溝状に深くえぐれる「垂直的骨吸収」の2パターンが存在します。全骨量の3分の2以上が消失し、根分岐部(奥歯の根の分かれ目)まで病変が到達すると、歯根が宙に浮いた状態となり、最終的には歯が自然に抜ける前兆へと移行していきます。