大手企業の人事担当者やビジネスマナー研修の講師を対象にした調査や現場のヒアリングにおいて、日常的に最も耳にする誤用の一つが「相手の動作に対する謙譲語の流用」です。
全国のビジネスパーソンを対象にした意識調査や国語世論調査の傾向を分析すると、20代〜30代の若手層のみならず、40代以上の中堅・管理職層であっても約3割以上が「参られる」「伺われる」といった不適切な表現を口頭で発している実態が浮き彫りになっています。
SNSや知恵袋などのQ&Aコミュニティでも、以下のような切実な疑問やトラブル事例が多数報告されています。
「取引先の部長に『来週のフォーラムには参られますか?』と聞いてしまい、後輩の前で恥をかいた」
「上司から『俺は自分の会社に参るわけじゃないぞ』と苦笑い混じりに指摘されて初めて間違いに気づいた」
「参る」に尊敬の助動詞「られる」を付け足した「参られる」は、謙譲語に尊敬語を無理やり接合させた典型的な文法崩壊です。相手を敬うつもりが、根本的な文法理解の欠如を露呈してしまう典型例といえます。