身体の解剖学的構造の違いにより、アンモニア臭を招く背景には明確な性差が存在します。医療現場の受診データを照合すると、性別ごとに注意すべき疾患群が大きく分かれます。
まず、女性に多い尿のアンモニア臭の理由は、尿道の短さと肛門・膣との位置関係に起因します。女性の尿道は長さ約3〜4cmと男性(約16〜20cm)に比べて非常に短く、外部の細菌が容易に膀胱へ到達します。特にデスクワークでトイレを長時間我慢したり、冷えやストレスで免疫力が低下したりすると、容易に細菌性膀胱炎を発症して強烈なアンモニア臭を発生させます。更年期以降は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下によって膣や外陰部の粘膜が萎縮し、自浄作用が弱まることも発症リスクを高める要因です。
対照的に、中高年以降の男性の前立腺トラブルと尿臭の関係は深刻です。50代以降の男性の半数以上に見られる前立腺肥大症では、肥大した前立腺が尿道を圧迫するため、排尿の勢いが落ちて「残尿」が発生します。膀胱内に常に排出しきれない尿が滞留(尿うっ滞)することで、そこに雑菌が繁殖しやすくなり、常にアンモニア臭を帯びた尿が排出される原因となります。さらに、前立腺炎を併発すると激しい排尿痛や発熱を伴う危険性があります。