YouTubeチャンネル「松浦航大 Kodai Matsuura」で繰り広げられる「変幻自在の七色ボイス」は、視聴者を驚愕させ続けています。その中でも代名詞と呼ばれるのが、平井堅と米津玄師のカバー曲です。
平井堅のものまねでは、繊細な裏声への跳躍、喉頭を適度に引き上げつつ鼻腔と咽頭腔を巧みに共鳴させる鼻濁音のニュアンス、そして語尾に宿る切ないビブラートの周期に至るまで完璧にトレースされています。一方、米津玄師のカバーでは一転して、喉の奥を大きく開き、エッジボイスを含んだ低音の響きと独特の母音の崩し方を完全に掌握。全く異なる骨格と声帯の使い方を要求される2大ボーカリストを、1本の曲の中でミリ秒単位でスイッチするパフォーマンスは、まさに圧巻の一言です。
このほかにも、松浦航大のレパートリーには以下のような日本を代表するトップボーカリストが名を連ねています。
- 玉置浩二:深みのあるウィスパーボイスと爆発的なチェストボイスのダイナミクス
- 桜井和寿(Mr.Children):情熱的なしゃくり上げと鼻腔を共鳴させたハスキーな高音域
- 藤原聡(Official髭男dism):驚異的なヘッドボイスと突き抜けるベルティング発声
- 川崎鷹也:素朴で温かみのある中音域の響きと語りかけるようなディクション
- GACKT、槇原敬之、スキマスイッチ(大橋卓弥)など多数
音声解剖学の観点から見れば、人間の声帯は通常、長年の発声習慣によって形状や筋肉の使い方が固定化されます。しかし松浦航大は、輪状甲状筋と甲状披裂筋の収縮バランスをミリ単位で微調整し、舌根の位置や口蓋垂の引き上げ具合を楽曲ごとに再構築する驚異的な「声帯の可塑性(かそせい)」を保持しています。単なるデフォルメされた形態模写ではなく、原曲アーティストの歌唱設計書を頭の中で完全にデコードした上で自身の身体から出力するハイパーリアリズムこそが、専門家からも「声のスペシャリスト」と称賛される理由です。