植物図鑑を開いても「ビンボウグサ」という標準和名は存在しません。「貧乏草」とは、主にキク科ムカシヨモギ属に分類される「ハルジオン(春紫苑)」と「ヒメジョオン(姫女苑)」という2種類の帰化植物を指す通称・俗名です。
地域によっては、どちらか一方のみを貧乏草と呼ぶケースもあれば、春に咲くハルジオンから初夏〜秋に咲くヒメジョオンまでをまとめて貧乏草と呼ぶケースもあります。いずれも北アメリカ原産の外来種であり、日本に入ってきた時期や歴史的経緯には若干の違いがあります。
ハルジオンは大正時代(1920年頃)に観賞用として輸入されたものが野生化し、全国へ急速に広がりました。一方のヒメジョオンはそれより古く、江戸時代末期の1865年頃に渡来し、明治時代には「柳葉姫菊(やなぎばひめぎく)」の名で親しまれた記録が残っています。どちらも日本の風土に適応し、現在では身近な野草の代表格として定着しています。