毎年大晦日の『NHK紅白歌合戦』において、「天城越え」はNHKの放送史上でも特別視される大トリソングとして定着している。石川さゆりがマイクを握り、三味線やフルオーケストラの重厚な演奏をバックに「天城越え~」とシャウトする瞬間、日本の茶の間は息を飲む。
紅白歌合戦での歌唱回数は20回を超え、昭和・平成・令和の三つの時代を跨いで歌い継がれてきた。時代が移り変わっても、圧巻の歌唱パフォーマンスが放つ熱量は一切衰えない。いまや一楽曲の枠を越え、日本人の集団的記憶に刻まれた国民的儀式としての意味合いすら帯びている。