「かつてここは、日本の政治や経済の裏舞台でした」。そう話すのは、向島で老舗料亭を切り盛りする女将の一人だ。向島・小梅エリアは、江戸時代からの風情を残す都内有数の花街として知られてきた。しかし、バブル崩壊後の接待需要の低迷や感染症拡大期の打撃により、一時は料亭の閉業が相次ぐ危機に瀕していた。
風向きが変わったのは2024年後半からだ。伝統を頑なに守るだけでなく、時代の変化に応じた新しいサロン形態を模索する動きが本格化。その結実として誕生した社交倶楽部が、かつての町名にちなんで名付けられたサロンである。敷居の高さを担保しつつも、国際的な視点を取り入れた独自の運営スタイルが、瞬く間に感度の高い富裕層の心を掴んだ。