退団後の歩みもまた、既成概念の破壊だった。宝塚出身のスターが多く選ぶ舞台中心のキャリアや特定のプロダクションではなく、映像界に強い大手芸能事務所・研音へ移籍。そこで彼女は、長年染み付いた「男役の癖」を削ぎ落とすという過酷な身体改造と意識改革に直面する。
一時期の模索を経て、2005年のドラマ『女王の教室』で冷酷無比な鬼教師・阿久津真矢を怪演したことで、日本中を震撼させた。背筋をピンと伸ばし、感情を押し殺した無表情の奥から滲み出る情熱と孤独。それは宝塚で培ったストイックな身体性と、映像の世界で鍛え抜かれた心理描写が見事に融合した瞬間だった。その後も『緊急取調室』の真壁有希子役をはじめ、自立したプロフェッショナルとしての女性像を次々と確立。宝塚OGという肩書を必要としない、唯一無二の国民的俳優へと脱皮を遂げたのである。