芸能界、とりわけお笑いの世界に創価学会の信仰を持つ人物が目立つ最大の要因は、組織内部に設けられた「芸術部」の存在と、芸人という職業が抱える特有の心理的不安にあります。1962年に設置された芸術部は、音楽家、俳優、落語家、舞台人など表現に携わる信者で構成され、互いの信仰体験を語り合いながら連帯を深めるコミュニティとして機能してきました。
一般的な会社員とは異なり、若手芸人の大半は「明日をも知れぬ極貧の下積み生活」と「いつ芽が出るか分からない強烈な将来不安」に直面します。オーディションに落ち続け、アルバイトで食いつなぐ過酷な日々のなかで、先輩芸人や同世代の部員から「大丈夫、題目(南無妙法蓮華経の唱題)をあげて努力を重ねれば必ず道は開ける」と精神的な支えを与えられる環境は、駆け出しの芸人にとって強力なセーフティネットとして機能しました。
また、機関紙である『聖教新聞』への芸人登場も大きな動機付けとなっています。同紙のインタビュー記事や座談会企画では、下積み時代の苦悩と信仰によってそれを乗り越えたドラマが「信仰体験」として大々的にフィーチャーされます。全国500万部規模とされる強固な読者層を持つ紙面で紹介されることは、まだ世に出ていない若手芸人にとって知名度獲得の貴重な足がかりとなり、結果として組織への帰属意識を強める好循環を生んできた側面は否定できません。