日頃の消費行動において、一般の生活者はこの2つの呼称をどう使い分けているのか。SNS上の投稿や知恵袋、青果売り場の現場調査を行うと、しそ大葉地域別の呼び分けにおける興味深い地域格差が浮き彫りになります。
関西圏(大阪・京都・兵庫)のスーパーや青果店では、日常会話から売り場表示まで「大葉」の呼称が圧倒的多数を占めます。大阪市内の青果卸売関係者は次のように証言します。
「関西の市場では昭和の初期から『つまもの』を専門に扱う文化が発達していました。そのため、葉を束ねたものは最初から『大葉』として入荷し、消費者の間でも『大葉買うてきて』という言い回しが完全に定着しています。刺身に添える緑の葉を『青じそ』と呼ぶ人は、料理人を除けば少数派です」(大阪市内・青果卸売関係者)
これに対し、東日本(特に関東以北)では、家庭菜園の普及や自生するしその存在が身近であることから、「しそ」と呼ぶ人の割合が高くなります。大手ネットリサーチの過去データやSNS上の言及分析でも、「大葉という言葉を上京してから初めて知った」「実家では庭に生えているものを全部しそと呼んでいた」という東北や北関東出身者の声が目立ちます。
家庭内のコミュニケーションにおいても、「レシピに青じそと書いてあるのに売り場には大葉しかなくて店員に探してもらった」というエピソードが後を絶ちません。日常語としての「しそ」と、商業流通語としての「大葉」が、生活者の認知の中で今なお軽い摩擦を生み出している実態が確認できます。