青島幸男の代表作として今なお語り継がれるのが、長谷川町子原作のマンガを実写化したテレビドラマ『いじわるばあさん』である。本来は年配女性が演じるべき「意地悪なおばあさん」役を、当時30代半ばの男性であった青島が意地悪ばあさん(波多野タツ)として演じるという異例のキャスティングは、放送開始前から業界内で大きな波紋を呼んだ。しかし、蓋を開けてみれば、その意地悪でありながらどこか憎めない人間味あふれる演技は大爆発的な人気を博した。
ドラマの撮影現場では、原作のコミカルさを活かしつつも、青島自身の毒のある即興芝居が数多く盛り込まれたという裏話が残っている。意地悪を通じて世間の嘘や世渡り上手のずるさを暴き出すストーリー構成は、単なるコメディの枠を超え、高度経済成長に浮かれる日本社会への批評として機能していた。NHKをはじめとする各局のドラマ表現にも多大な影響を与えた本作は、テレビドラマ史において異彩を放つ名作として刻まれている。