人類が観測史上初めて捉えた恒星間天体「オウムアムア」の発見経緯は、まさに天文学の歴史的転換点でした。2017年10月19日、ハワイ大学が運営するパンスターズ1望遠鏡(Pan-STARRS1)が、太陽を最接近通過して猛烈な勢いで離脱していく微弱な光点を捉えました。当初は通常の彗星と考えられたものの、彗星特有の「コマ(ガスや塵の雲)」や「尾」が一切観測されず、国際天文学連合(IAU)は急遽、恒星間天体を示す新分類符号「1I」を制定しました。
オウムアムアの光度曲線を詳細に分析した結果、約7.3〜8時間の自転周期に伴って明るさが10倍(約2.5等級)も変動することが判明しました。これは、天体の形状が長さ数百メートルに対して幅が数十メートルという「縦横比1対6〜1対10に及ぶ極端な葉巻型(または平たいパンケーキ型)」であることを示唆していました。
一方、2019年8月30日にクリミアのアマチュア天文家ゲンナジー・ボリソフ氏が発見した「ボリソフ彗星(2I/Borisov)」は、オウムアムアとは対極の様相を呈していました。ボリソフ彗星は太陽接近に伴って明確なコマと巨大な尾を展開し、ハッブル宇宙望遠鏡やアルマ望遠鏡(ALMA)による分光観測では、太陽系の彗星と極めて酷似した一酸化炭素(CO)やシアン化水素(HCN)、水分子(H2O)の放出が確認されたのです。