音楽用語における「オク下」とは、オクターブ下の略称です。物理学・音響工学の観点から言えば、原曲で指定されている音程よりも周波数がちょうど半分の低さ(12半音低い状態)で歌唱することを指します。例えば、原曲のメロディが「ソ(mid2G=約392Hz)」である場合、その1オクターブ下である「ソ(mid1G=約196Hz)」を発声している状態がオク下です。
音階(ドレミファソラシド)の音名そのものは完全に一致しているため、メロディの骨組みとしては破綻していません。ここに、歌っている本人がもっとも気づきにくい最大の盲点が存在します。
多くの人が疑問に抱くのが、「なぜオク下なのにカラオケの精密採点で高得点が出るのか」という点です。大手通信カラオケ(第一興商のDAMシリーズやエクシングのJOYSOUND)に搭載されている採点エンジンのピッチ検出アルゴリズムは、人間の声に含まれる周期性を解析して音階を判定しています。採点機の設計上、カラオケ 音程バー 判定はオクターブの違いを同一音程として許容する仕様になっているため、1オクターブ低く歌っていてもバーの上を正確になぞることができ、80点台後半や90点以上のスコアが平然と記録されます。
その結果、「採点バーが金色に光っているから完璧に歌えている」と本人が誤認し、周囲が感じている強烈な違和感との間に致命的なギャップが生じることになります。