映画の冒頭、雫が親友の夕子に見せて笑い転げるパロディ曲「コンクリート・ロード」は、作品を語る上で欠かせない重要なエピソードです。
「コンクリート・ロード どこまでも 森を伐り 谷を埋め 西武デパート バーゲンセール」という辛辣かつユーモラスな歌詞は、映画の舞台となった東京都多摩市(聖蹟桜ヶ丘周辺)を含む多摩ニュータウンの急速な都市開発に対する、思春期の少女なりの風刺でした。この歌詞を書いたのは宮崎駿監督自身であり、急速に失われていく武蔵野の原風景への痛惜と、均質化された近代都市で暮らす若者の鬱屈が巧みに表現されています。
天沢聖司に「コンクリート・ロードはやめたほうがいいと思うよ」とからかわれたことで二人の運命的な接点が生まれる構成は、ただのギャグソングにとどまらず、物語を駆動させる見事な劇中装置として機能しています。