12年間もの間、鉄壁のコントロール下に置かれていたToshlが脱出を決意した背景には、いくつかの決定的な契機がありました。
皮肉にも最大の転機となったのは、2007年のX JAPAN再結成でした。団体側は莫大な資金源としてToshlをバンドに復帰させましたが、盟友・YOSHIKIと再びステージに立ち、ファンからの純粋な熱気に触れたことで、Toshlの心に押し込められていた本来の感情と表現者としての魂が揺り動かされました。
さらに現実的な崩壊の引き金となったのが、東京国税局による税務調査です。Toshlの口座を通じて巨額の金が動いていたにもかかわらず、団体側が税金を納めていなかったため、個人として数億円規模の追徴課税を突きつけられました。MASAYAに助けを求めた際、「それはお前の問題だ」と冷酷に切り捨てられたことで、長年信じ込まされていた「絶対的な愛」という虚構が音を立てて崩れ落ちたのです。
心身ともに限界を迎え倒れたToshlは、信頼できる医療関係者や弁護士などのサポートを受け、監視の目を盗んで逃亡。命がけの脱出劇が結実しました。