佐々木つとむ(本名・佐々木努)氏は、1970年代から80年代にかけて活躍したものまね界のパイオニアです。はたけんじ氏、団しん也氏、堺すすむ氏らとともに「元祖ものまね四天王」と称され、当時の演芸ブームを牽引しました。
彼の最大の武器は、単なる声帯模写にとどまらない「憑依型」とも呼ぶべき人間描写の深さでした。特に勝新太郎が演じる『座頭市』のものまねは芸能界屈指の完成度を誇り、勝新太郎本人からも公認され可愛がられるほどの名人芸でした。ほかにも渥美清の『男はつらいよ』の車寅次郎、市川右太衛門、田中角栄など、昭和の巨星たちの特徴をデフォルメしつつも品格を失わない芸風で、老若男女から絶大な支持を集めていたのです。
また、育成面でも後世に大きな足跡を残しています。若き日のコロッケ氏をはじめとする多くの後輩芸人が彼の元を慕い、その卓越した観察眼やステージ上での間の取り方から多大な薫陶を受けました。昭和から平成へと続くものまねエンターテインメントの礎を築いた重要人物のひとりであったことは間違いありません。