雪虫に直接的な毒針や人を刺して吸血するような毒性はありません。しかし、「毒がないから全くの無害である」と過信するのは大きな誤解です。都市部での大量発生に伴い、呼吸器系や眼科領域、皮膚トラブルなど具体的な健康被害の報告が増加しています。
最も注意すべきはアレルギー反応です。アブラムシ類の体液や粉末状になったワックス物質には特定のアレルゲンタンパク質が含まれており、大量に吸い込んだり皮膚にすり込んだりすることで、気管支喘息の悪化やアレルギー性鼻炎、接触皮膚炎(かゆみや発疹)を引き起こす可能性があります。特に自転車走行時やジョギング時など、深く息を吸い込む場面で口や鼻から虫体を直接吸引してしまうトラブルが頻発しています。
また、雪虫を潰した際に生じる油臭い不快な臭いも特徴的です。この異臭の原因は、雪虫が分泌するワックスエステルなどの脂質成分と、虫体の体液が酸化・分解されて生じる揮発性有機化合物によるものです。手や衣服で不用意に押し潰すと、油性の黒ずみ汚れとともに頑固な臭いが繊維に染み付いてしまうため、接触時の物理的な扱いには厳重な注意が求められます。