日本の食卓に欠かせない伝統食を支えてきた板。その出自を辿ると、日本の水産練り製品製造業が長年培ってきた知恵と技術に行き着く。鈴廣かまぼこや紀文食品といった名だたる老舗・大手メーカーをはじめ、全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会に加盟する各地の工房では、製品の品質を保つために選び抜かれた無垢材が使われている。
使われている木材の多くは、モミやスギ、ファルカタなどだ。余分な水分を吸い、乾燥時には適度に湿気を戻す。かまぼこの味と食感を守るための呼吸する板だからこそ、防腐剤などの化学薬剤に頼らない安全で美しい木肌が保たれている。これをごみ箱に放り込むのは、あまりにも惜しい。捨てるはずのものを価値ある逸品へと昇華させるアップサイクルの潮流が、この小さな木片にスポットライトを当てたのは必然だった。