近年、莫大な製作費を投じた大作映画が興行的に苦戦を強いられるケースが相次ぎ、業界全体に重い閉塞感が漂っていた。CGに頼り切った平板なスペクタクルや、過去の成功体験をなぞるだけの続編ビジネスに対して観客は明確にノーを突きつけていた。そんな停滞期にあって、本作が叩き出した驚異的な数字はハリウッド映画産業に強烈な覚醒を促す劇薬となった。
観客が求めているのは、予定調和の美しい物語ではなく、作り手の体温と毒気がダイレクトに伝わる刺激的な映画体験だ。批評家の賛否を軽々と飛び越え、劇場の空気を一変させたそのエネルギーは、スタジオ主導の映画製作が次なるステージへ脱皮するための決定打となった。