大西氏の支持基盤を支えている最大の要素は、その特異な経歴と金融論にあります。1964年生まれの大西氏は上智大学外国語学部を卒業後、JPモルガンなどの大手外資系銀行で為替ディーラーとして巨額の資金を動かしてきました。その後、IT企業の経営や飲食業の立ち上げを経て政治の世界へと足を踏み入れています。
彼が初期から一貫して主張しているのが、「お金の発行の仕組み(信用創造)」に対する疑義です。著書『私が総理大臣ならこうする 日本と世界を同時に救うビッグピクチャー』などに記されている通り、現行の資本主義社会では「お金は誰かの借金として銀行が作り出している」という事実を指摘。借金が増え続けなければ維持できない現行システムは本質的に破綻しており、利子による富の偏在を解消するためには、通貨発行権を公的な管理下に取り戻す必要があると訴えかけました。
この言説は、MMT(現代貨幣理論)が注目を浴びる潮流と共鳴し、財務省の財政再建論に疑問を抱く層や、格差社会に苦しむ若年層の心を強く掴みました。「ホワイトボードを使って複雑な金融システムを明快に解説する姿」は、既存の政治家にはない知的な切れ味を感じさせ、多くの支持者を熱狂させた要因です。
一方で、主流派の経済学者や金融実務家からは、「為替取引の実務知識と国家マクロ経済学をご都合主義的に混同している」「貨幣供給の拡大がもたらすハイパーインフレや為替暴落のシステミックリスクを軽視しすぎている」といった厳しい批判も根強く存在します。明快な論理構造を持つがゆえに、素人には極めて魅力的に映るものの、極端な単純化が孕むリスクを内包しているという評価が専門家筋の大半を占めています。