湖の北岸、観光バスの隊列が途切れる丘陵地帯の奥に、湯煙を静かに上げる小さな湯宿がある。大浴場の引き戸を開けた瞬間、思わず息を呑んだ。視界を遮る電線も柵もなく、雪を抱いた富士山が左右対称の完璧な稜線を広げていた。ここを訪れるなら、一般のチェックアウト客と日帰り客が交錯する正午前後をあえて外し、開館直後の午前10時、あるいは夕暮れ時の16時半を狙うのが鉄則だ。
混雑を回避する限定ルートとして注目したいのが、湖北ビューラインから一本山手へと折れる旧道ルート。メインストリートが渋滞で動かなくなる時間帯でも、この抜け道を経由すれば移動時間を3分の1に短縮できる。入浴料に貸切風呂の利用権や地域限定のドリンクチケットがセットになったオフピークプランをフロントで直接指定すれば、通常の半額近い負担でプレミアムな個室休憩を手に入れられることも判明した。知っている者だけが受けられる恩恵は、想像以上に大きい。