遠野なぎこが抱える体調不良や情緒の不安定さの根底には、幼少期に受けた深刻な家庭環境のトラウマが存在します。彼女は2013年に上梓した自著『一度も愛してくれなかった母へ、一度も愛せなかった男たちへ』の中で、実母から長年にわたり受けていた身体的・精神的虐待の事実を告白しました。
昭和から平成初期の芸能界において顕著だった「ステージママ」の存在。実母は娘を人気子役・女優に仕立て上げることに執着し、容姿への過度な干渉や激しい体罰を日常的に繰り返していたと明かされています。「醜い」「太っている」という言葉を幼少期から浴びせ続けられた結果、15歳頃から過食嘔吐と拒食を繰り返す摂食障害を発症。自分の存在価値を容姿や他者からの評価に依存せざるを得ない精神構造が形成されていきました。
家族社会学の観点から見れば、これは典型的な「母娘の共依存」と境界線の崩壊(バウンダリーの欠如)がもたらした悲劇です。母の承認を得るために演じ続けなければならなかった少女時代の苦しみは、大人になって母と絶縁した後も、対人関係の不安や身体症状として彼女を苛み続けています。