六華苑の敷地面積は約18,000平方メートル(約5,500坪)に及び、その広大な敷地に広がる建築群と庭園は、日本の近代建築史における極めて重要なマイルストーンです。
1. 4層の塔屋がそびえるミントグリーンの洋館
鹿鳴館、旧岩崎邸、ニコライ堂などを設計し「日本近代建築の父」と称されるジョサイア・コンドル。彼が手がけた建築物の大半は東京に集中しており、東京以外で現存する唯一のコンドル住宅建築がこの六華苑の洋館です。木造2階建て、一部4階建ての塔屋を持つ優美なビクトリアン様式で、外壁の淡いミントグリーンと赤屋根のコントラストが青空に映えます。内部には大理石のマントルピース(暖炉)、手の込んだ寄木張りの床、アール・ヌーヴォー調のステンドグラスが散りばめられ、当時の最高峰の職人技が凝縮されています。
2. 尾張の宮大工・池田甚三郎が手がけた本格和館
洋館に接続する和館は、当時の名工・池田甚三郎が棟梁を務めた木造平屋(一部2階建て)の豪壮な日本建築です。上質な杉の一枚板を用いた格天井や、節のない檜の長尺柱、繊細な欄間彫刻など、贅を尽くした普請が随所に見られます。洋館のモダンさと和館の静謐な佇まいが違和感なく調和する意匠は、当時の日本の大工棟梁が持つ技術力の高さを如実に物語っています。
3. 国の名勝に指定された池泉回遊式庭園
池を中心に配した広大な庭園は、国の名勝に指定されています。洋館のテラスから眺めると芝生広場が広がる洋風庭園の趣を呈し、和館の座敷から眺めると灯籠や飛び石、マツやカエデが配置された純和風の池泉回遊式庭園として完成する二面性を持っています。春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の表情で訪れる人々を魅了します。