ビニール肌の原因とNG習慣の筆頭に挙げられるのが、近年SNSを契機に過熱した成分特化型スキンケアの乱用です。とくにレチノールとピーリングのやりすぎは、皮膚科の臨床外来でもビニール肌患者を爆発的に増やした主因と指摘されています。
レチノール(ビタミンA誘導体)は、表皮の細胞分裂を促進してターンオーバーを早める非常に優れた成分です。しかし、肌の受容能力を超えた高濃度の連用や、皮剥けや赤みを「美肌への好転反応」と誤認して我慢し続けると、角質細胞が成熟する十分な時間を奪われます。その結果、本来備わるはずの天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質をほとんど抱え込めない未完成な細胞が最前線にさらされ、わずか0.02ミリメートルしかない角質層の厚みが半減してしまうのです。
これに追い打ちをかけるのが、サリチル酸(BHA)やグリコール酸(AHA)を配合したピーリング美容液、酵素洗顔、クレンジングバームによる過度な摩擦マッサージの併用です。「角栓を根こそぎ取りたい」「くすみを一掃したい」という焦りから角質剥離行為を重ねる行為は、自ら紙やすりで皮膚の保護壁を削り落としているのと変わりません。
背景には、「肌を磨き上げなければならない」という強迫観念めいた美容意識が存在します。美容熱心で情報感度が高い人ほど、成分の効能ばかりに目を奪われ、肌が発する悲鳴(ヒリつきや赤み)を軽視してしまう傾向が見て取れます。